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『NPOの有給職員とボランティア―その働き方と意識―』(労働政策研究報告書 No.60)
独立行政法人 労働政策研究・研修機構による研究報告書。私は書籍版でよみましたが、
PDF 版も公開されています。
この調査では、NPO の現場における労働とボランティアについて考察する中で、NPO のミッションと現実の労働条件の乖離、すなわち優秀な人材を確保する社会的な条件が整備されていないことを指摘していますが、その原因として(1)NPO 法人の優遇税制のないこと、(2)行政が NPO 法人をパートナーとして想定していないこと、(3)ボランティアが有給職員の賃金を引き下げる、の3点を挙げています。
優遇税制が認められた認定 NPO は、
規制緩和で多少増えたとは言え未だに48法人しかなく、結果 NPO の寄付収入は往々にして超低空飛行、行政からの委託事業も往々にして人件費削減のための下請けと化しており、組織内部においても有償のボランティアと有給職員の労働の差に大きな違いが認められていない、こういった要因が、有給職員の待遇を低く抑えていると考えられます。
この調査によれば、
フルタイム活動している NPO スタッフの平均年収は、事務局長が 296.3 万円、正規職員が 223.0 万円、一般の非正規職員が 140.2 万円とのことです。
いちおう JAFSA は平均は超えている、というか、
いちおうボーナスも出ます(ただし、勤続半年からなので、この夏はもらってません(-_-、))ので、日本の NPO としてはましな部類です。
ただ、
「男性だろうが、学歴が高かろうが、就業経験が充実していようが、労働条件には恵まれようがない」(p.90)という現実は JAFSA にも当てはまり、好き好んで着任したとはいえ、現在の私の収入は前職の大学職員時代を大幅に下回っています。
この報告書にも出てきますが、日本の NPO には「男の寿退社」(結婚にあたって、より収入のいい仕事に転職する)が珍しくないというのは事実ですし、
終身雇用制度の是非はともかくとして、日本の NPO では最初からそういう風になっていない、というのは、実際にその仕事に就いてみて改めて痛感させられました。
統計的な調査については以上のような感じですが、自由解答欄を設けて「どうしたら NPO での活動が行いやすくなるでしょうか」との質問に答えてもらった結果の代表的な回答についても、(1)財政基盤の確立、(2)人材の確保・育成、(3)行政との連携・支援、(4)制度の確立、(5)NPO に対する理解、(6)組織自体の努力、(7)その他、に分類して掲載していました。
「あるあるあるある!」という回答が多々寄せられていましたが(^_^;)、
スタッフの1人1人が NPO 活動を理解した上で、また、この NPO の方針を把握したうえで働けたらよいと思う(私も含めて)。代表者は皆の前でその理念、方向性等を話す機会が必要だと思う。
(46歳、非正規職員: p.205)
というコメントには、専任スタッフであり同時に理事でもある自分としては、うなづいたり唸ったりでした。
大先輩をボスにお迎えしたことで、ようやくこの辺りにも注意が向けられつつありますが、本格的に議論するためには、理事のみなさんにも交代で事務局一番の繁忙期(5月の理事会・6月の総会準備と、6月末の東京都への年次報告提出を経て、サマーセミナー終了まで)の修羅場体験(^_^;)でもしてもらった方がいいのかも……とか思ったりして。