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田中芳樹『銀河英雄伝説 1 黎明編』
2月に刊行が始まった、
創元SF文庫版の銀英伝1巻です。
作品の概要はこちら:
田中 芳樹
東京創元社 (2007/02/21)
売り上げランキング: 17820
この作品にはデュアル文庫版の装丁よりこっちの方が似合うかも、というのには異議ないんですが、
田中芳樹氏自らによる「創元SF文庫版あとがき」くらいは付くかな、と思っていたのがなかったのにはちょっと残念。
ただ、
鏡明氏による解説「スペース・オペラはいかに政治の夢を見るか」で、欧米ではどちらかというと侮蔑的に用いられる「スペース・オペラ」という呼ばれ方の意味合いが日本では異なるものとして紹介されたこと、本家ではもっぱら絶対善と絶対悪とのものであったスペース・オペラに政治思想を持ち込んだ点が新しい、という話は、勉強になりました。
本編の方は、初出1982年から特に大きな手が入っているわけでもないので、記憶にある話なのは当然なのですが、それでもまったく古さを感じさせないのがすばらしい。
1巻には我が敬愛する(^_^;) ダスティ・アッテンボロー提督をはじめ、以後の話で中核となる多くの登場人物が未登場なこともあり、主役の二人(ヤンとラインハルト)の顔見世興行的な印象が強いのですが、初版読了時に中2だった私には、ヤンが(難攻不落とされる敵要塞)イゼルローン奪取作戦を引き受けた動機を尋ねられたときの言葉、
「恒久平和なんて人類の歴史上なかった。だから私はそんなもののぞみはしない。だが何十年かの平和でゆたかな時代は存在できた。(中略)それぞれの世代が、のちの世代への責任を忘れないでいれば、結果として長期間の平和がたもてるだろう。」(pp.183-184)
という視点が新鮮だったのが印象に残っています。
「単純な勧善懲悪ではないストーリー」というだけでしたら、「
機動戦士ガンダム」(1979-80年)や「
超時空要塞マクロス」(1982-83年)もそうでしたが、大学で国際関係を専攻する(結果的にこういう(^_^;)人生を歩む)ことになる最初のきっかけは、この本だったように思います。